2024年09月20日 10:30更新
今年から始まった、十日町市外に住む人たちが松代地域の耕作放棄地だった水田に1年かけて通いコメ作りを行うプロジェクト「ヨ~イ!みんなの棚田」が実りの時期を迎えました。15日(日)に23人が稲刈りに参加し、収穫の喜びを分かち合いました。
このプロジェクトは「通い農」として市外に住む人が松代地域に足を運び、5年ほど耕作放棄地となっていた約700㎡の水田2枚で減農薬栽培のコメ作りを行うものです。地域おこし協力隊の星裕方さんが松代地域と地域間交流を続ける世田谷区の地域コミュニティ「チーム用賀」に呼びかけて今年4月から始まりました。関東圏や新潟市などに住む約60人が約半年間、田植えや除草作業に励み、このたび無事に実りの時期を迎えました。
地域おこし協力隊 星裕方さん
「収穫を迎えられてホッとしている。1年を通して皆さんに通ってもらうことで、田んぼの1年を知ってもらう機会になった。今のところ大きな問題もなく、減農薬栽培の成果はあったと思う。この田んぼだけ、チョウチョウがたくさん飛んでいたり、絶滅危惧種のミズアオイが生えている。この田んぼだけでも生物の多様性があることを1年で発見できた。その点は減農薬栽培の自然に負荷をかけないということを証明できた」
この日は23人が集まり、田んぼに生えている雑草に苦戦しながら、機械を使わずに自らの手で稲穂を刈り取っていきました。
新潟市から
「本格的な稲刈りは初めて。汗が噴き出てくるが、喜びのほうが勝つ。春に初めて田植えをして、今自分で植えた稲を刈っていて、楽しくてしょうがない。もっとこの活動を広めるべき。できれば家族も連れてきたい」
稲刈りのあとに予定されていた稲架掛けは、お昼ころから降り出した雨で延期になり、この日は稲を束にまとめる作業で終えました。
チーム用賀
「雨が気持ちいい、汗をかいたので。休眠していた田んぼだったので、どれだけできるか初めのガマ取りの時は分からなかったが、すごくたくさん採れて3俵くらいになるそうなので、おいしく食べるのを楽しみにしている」
「1年を通してのコメ作りは今年が初めてだったので感慨深い。1年を通して田んぼに関わったことで、次はこうしたいという気持ちが芽生えてきている。そういうことをみんなで話し合って実現したい」
このプロジェクトを進めてきた星さんは市外の一般の人だけでなく、全国の企業・法人からも地元の棚田の保全に関わってもらおうと、新たなビジネスをこの秋から展開しています。それは企業の研修として棚田の耕作体験を受け入れ、その体験指導にあたる地元の農業者に料金が支払われるもので、去年開かれた「十日町ビジネスプラン審査会」で優秀賞を受賞した事業計画となっています。この実証実験として星さんが経営する株式会社里山パブリックリレーションズが仲介元となり、9月10日にはNTT東日本の19人が2泊3日で星峠の棚田に訪れて、稲刈りなどのワークショップを体験したということです。
地域おこし協力隊 星裕方さん
「(天候などで)農家の収入が不安定になるのを去年体験した。農家の下支えになるような収入源として体験指導料を支払えるビジネスモデルを、企業研修ならできるのではと実証実験している。都会の意識と地元の意識の差を埋める作業が必要。都会の人は田んぼに来て稲刈りをすれば地元のためになっていると思っている。ただコメ作りもある程度機械化が進んでいて、人足点生活など通ってみたいという人が増えるといい」
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