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新種の「ガガンボ」として国際学術誌に掲載!キョロロ研究員 加藤大智さんが論文執筆

2022年08月13日 18:32更新

十日町市立里山科学館 越後松之山「森の学校」キョロロの研究員 加藤大智さんが採集して研究を進めてきた「ガガンボ」が、新種として国際学術誌に掲載されました。キョロロとしての新種の昆虫の発見は、これが5種目になります。

Atypophthalmus hymenophallus

新種として論文に掲載されたガガンボの仲間です。学名はAtypophthalmus hymenophallus(アティポフタルムス ヒメノファルス)です。和名はまだありません。

加藤さんが2015年に福岡市や糸島市で採集し、後に新種であることがわかりました。このほど、昆虫やそのほかの陸上節足動物の研究に関するロシアの国際学術雑誌「EuroasianEntomological Journal」に加藤さんがまとめた論文「日本のAtypophthalmus属(ハエ目:ヒメガガンボ科)の概要」が8月9日に掲載されました。

このガガンボは十日町市では松之山の天水山の標高900メートル付近のブナ林で採集されています。加藤さんの研究で、この種は本州から西表島まで広く生息し、新潟県の記録は現状分布の北限にあたることがわかっています。

十日町市を含め、国内各地の標本を調査し、詳細な形態比較や国内外の研究機関が所蔵する標本調査を経て、雄の交尾器に膜がある特徴などから、アティポフタルムス ヒメノファルスと命名したということです。

Atypophthalmus hymenophallus オス交尾器

Atypophthalmus属の新種が論文に掲載されるのは、国内で1971年以来51年ぶりです。

Atypophthalmus okinawensis

論文にはこの種のほかに、加藤さんが採集したガガンボの仲間で、奄美から沖縄本島に分布する別の1種も新種として掲載されています。

加藤さんは「キョロロでの一連の新種発見は、ごく限られた特定の昆虫の仲間であっても、身近な自然で次々と新種が見つかる可能性を示す好例だ」と話しています。

加藤さん
「今回で松之山からのガガンボの新種は4種目となりましたが、新種として発表できていない種が松之山にもまだまだ残っていて、その一部は現在原稿を準備中です。日本ではガガンボ上科というグループで約800種の学名の付いた種が記録されていますが、実際には2倍近くの種が日本に生息していると考えています。これからも論文を執筆し続け、これらの未解明・未整理の部分を解明していきたいと思います。現在多くの生き物が絶滅危惧種に指定されているように、我々は今第6の絶滅期にいて、1年間に4万種が絶滅していると言われています。そして、そのうちのほとんどは発見される前に姿を消しています。生命誕生の約40億年前から姿を変えて命をつないできた種が、発見されることなく絶滅してしまうというのは非常に悲しいことです。今後も微力ながら地球の生み出した自然の一部を記録していきたいです」

キョロロ研究員や学芸員による十日町で採取された新種の掲載は、2005年のマツノヤマヒメコケムシの発見から5種目になるということです。

 

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