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千手神社に残る江戸末期の地域の俳人たちの句集 10年かけて解読・冊子化

2024年05月22日 09:30更新

川西地域の千手神社に、江戸時代末期に地域の庶民が詠んだ約150首の俳句が奉納されているのをご存じですか?変体仮名が使われて難読の内容をこのほど、神社の奉賛会が10年かけて研究と解読をすすめ、現代の文字で分かりやすく記した冊子を出版しました。

千手神社には152句の俳句が記された2つの額が拝殿の北側と南側に飾られています。これは江戸時代末期の嘉永3年(西暦1850年)に奉納されたものです。当時、十日町近郊に住む庶民に応募をかけて集まった6800句あまりの中から選ばれた俳句が額に納められています。神社の奉賛会では、大地の芸術祭に訪れた観光客が拝殿に立ち寄って俳句の読み方や意味を尋ねてきたときに答えられる人がいなかったことをきっかけに、白井敏夫会長が中心となって解読と研究に手を付けました。

解読に当たっては、十日町博物館友の会古文書研究会の数藤 剛さんに監修を依頼するなど、周りの協力を得ながら、10冊ほどの辞書や参考書を用いて約10年をかけて研究が進められました。白井会長は「1つの俳句で3年から4年の時間がかかったこともある」と苦労を語っています。

製作の苦労について
「変体仮名が面倒。これを紐解くには、日本に漢字が伝来してから万葉仮名が生まれ、平仮名片仮名が生まれ、そこから変体仮名がでてくる。その流れを知らないとなかなか読めない。流れをつかむのに時間がかかった。日本で作られた和製漢字は漢和辞典に載ってないことが多く、いくら調べても出てこないので、特殊な国字辞典で引かないといけない。そもそも国字があるのを知らなかった。「蟵(かや)」という字は大変だった。パズルを解いた時みたいだった。分からない字と格闘して、見つかった時に達成感があった」

このほど解読が終わり、奉賛会では俳句を現代の文字に書き下して、写真と共に記した冊子「千手神社の寶(たから) 奉納俳句を讀み解く」を出版しました。詠み手は中条や下条、鐙坂といった市内の地名のほか、小国や真人など周辺地域の地名も出てきます。また「夜の雪 積もるほどなほ 静かなり」や「習うより 慣れてはかどる 田植えかな」など、魚沼地域ならではの自然や生活を詠んだものが多いのが特徴です。 

俳句について
「当時の楽しみは俳句しかなかった。それを神社に奉納するのは大事なイベントだった。神社の俳句額に自分の俳句は載るのは大変名誉だった。今は全部車だが昔は無くて、牛や馬の世界だったので、馬の句もいっぱい出てくる。今は完全に忘れてしまった事を思い出せる。『早乙女や唄が揃へば手も揃う』田植えをしている女性たちが楽しい歌声と共に手もそろって、田植えが進んでいくという句がある。大変参考になる。200年前の電気も車も無い時代に、当時の人たちはどういう生活をして、何を考えて、将来の我々にどういう夢を託そうとしたのか、そういう事を読み込むのが大事だと思う」

奉賛会によりますと、7月から始まる大地の芸術祭では週末の間、千手神社の拝殿を休憩所として解放する予定で、奉納俳句の額も間近で見ることができます。「千手神社の寶 奉納俳句を読み解く」は税込1500円。妻有ショッピングセンターのブックス平沢で販売されています。

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