2024年12月27日 14:00更新
宮中取水ダムで毎年秋に行われているサケの遡上調査で今シーズン、10月の1か月間に捕獲されたのは44匹と過去最も少なかったことが分かりました。遡上数の減少は全国的に見られ、将来のサケの回帰を見込んだ放流活動で使う稚魚の確保にも大きな影響を与えています。
サケの遡上調査は、信濃川中流域水環境改善検討協議会が環境調査の一環で平成21年から担っていましたが、令和5年からはJR東日本が自主的に行っています。
今年度の調査は宮中取水ダムの大型魚道に仕掛けられた捕獲トラップを1日に3回確認するもので、10月1日から31日までの1か月間行われました。その結果、最も多く捕獲された日で8匹、全体では昨年度の調査よりも5匹少ない44匹の確認に留まったということです。
JR東日本によりますと、サケは水温が20度を下回らないと遡上しない特性があり、信濃川の水温が10月に入ってからも高止まりしていたこと。また、本州日本海側のサケの来游数は平成27年度をピークに減少傾向にあり、そもそも新潟県内に戻ってくるサケの絶対数が減っていることが信濃川での遡上数減少の主な要因とみています。こうした状況に対して、宮中取水ダムでのサケの捕獲に協力している地元、中魚沼漁業協同組合の村山徹組合長は次のように話しています。
中魚沼漁業協同組合 村山徹組合長
「信濃川にサケが上ってこないのは自然界が悪い。海水温が高くなったり、大雨が降ったり川が暴れたり、サケの育成環境にそぐわないことを自然界がどんどんやっている。その自然界を壊したのは人間。信濃川のサケが1匹も遡上しなくなったら、信濃川が死んだと思わないといけない」
中魚沼漁協では遡上調査に協力しながら独自で捕獲したサケから卵をふ化させ、稚魚を信濃川へ返す活動を続けていますが、サケの遡上数の減少はこの活動にも影響を与えています。
組合では昨シーズン、約2万匹の稚魚を放流しましたが、そのときもメスの捕獲数が足りずに独自で採卵・受精ができず、北海道内や村上市の内水面漁協に受精卵を提供してもらいました。今シーズンも独自でふ化させることは厳しい状況な上、国内各地でサケの不漁が相次ぎ、次の春にどのくらいの稚魚を放流できるかも不透明ということです。
中魚沼漁業協同組合 村山徹組合長
「環境が悪くなって北海道が極端にサケが取れなくなった。そのため中魚沼漁協にも受精卵が無いし、ほかの内水面漁協にも無いが、頭を下げてでも卵を集めて、数量に違いがあってでも放流を続ける。子どもたちに大きくなって帰ってきたサケを見て手で触って重さを確認することを『実感』してもらわないといけない。『カムバックサーモン』とは単にサケに帰ってきてもらうことではなく、我々が自然を壊さないように努力をすること」
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