2025年06月13日 12:04更新
今月末に迫るJR東日本の信濃川発電所の水利権更新を前に、十日町市と10年前に結んだ「信濃川の河川環境と水利使用の調和に関する覚書」の一部を改めることになり、新たな覚書の調印式が12日(木)に十日町市役所で開かれました。
この覚書はJR東日本信濃川発電所の水利権更新を前に河川環境と水利使用との調和を図ろうと、JR東日本が地元の自治体と結ぶものです。今回変更された主な点は宮中取水ダムからの信濃川への放流量についてです。
これまで川の正常な機能を維持するための流量として、毎秒40トン以上としつつ、6月から11月までの間は河川水温の上昇やサケの遡上に配慮し、毎秒60トン程度に増やして放流すると期間や水量を明記していたところ、新たな覚書では年間を通して毎秒40トン以上に統一し、7月20日から9月10日までは必要に応じて河川環境に配慮した放流を行うとし、具体的な水量に関する規定は削除されました。
この変更を巡っては、5月28日に開かれた市議会で賛成多数で議案が可決されましたが、市の担当者は次のように説明しています。
十日町市建設課 阿部善明課長
「平成27年当時は毎秒40トンでも支障がない位置づけがされた。それでも市としてはラフティングや漁協、サケを考慮しながら毎秒60トンという放流量で10年間やってきたが、10年の間に問題ないことが実証されているので、今回の覚書の変更となった」
またJR東日本が6月4日に開いた信濃川発電所の河川環境検討会では、池田克也副市長が「信濃川でラフティングをしている方が多くいて、毎秒40トンでは厳しいときがある。そういうときに増放流できないか」と協力を仰ぎました。これに対しJR東日本は「意見として承っているので別途、市と協議したい」と回答しています。
こうした議論を経て、十日町市役所で開かれた調印式では関口市長とJR東日本の喜勢陽一社長が立ち合い、新たな覚書を交わしました。
東日本旅客鉄道株式会社 喜㔟陽一社長
「十日町市民から更に様々な提案がありしっかりと受け止めて私共のグループでできることは責務として果たしていく」
十日町市 関口芳史市長
「川の環境や水利用の仕方の覚書を書き換えたが、JR東日本にとってもっと十日町の資源を活用して企業価値を高めてもらいたい。水だけではなく資源を利用してお互いにハッピーになれればいい」
覚書更新の背景には2008年にJR東日本が国で定められた量を上回る取水を違法に行い、その翌年に水利権が取り消された経緯があります。それから信濃川の環境を守ろうと覚書が交わされ、今回はそれから10年が経った上での更新となりました。なお、JR東日本はすでに次の10年間の水利権の更新を国土交通省に申請しています。
Copyright (C) 2025 十日町タウン情報 All rights reserved.