2026年05月04日 09:00更新
野鳥の宝庫と呼ばれる松之山地域で、希少種の「アカショウビン」や「ブッポウソウ」が野鳥カメラマンの悪質なマナーの影響で巣作りや子育てを途中でやめてしまうことが近年問題になっています。地元の松之山野鳥愛護会では「過度に近づかない」「居座り行為をしない」などマナーを守るよう呼びかけています。
アカショウビン
鮮やかな赤色と美しい鳴き声が特徴で、森の宝石と呼ばれる新潟県の準絶滅危惧種、アカショウビン。
ブッポウソウ
青や緑の美しい羽が特徴で、幸せの青い鳥と呼ばれる県の絶滅危惧種、ブッポウソウ。共に、毎年5月ころに東南アジアから日本に北上してくる渡り鳥で、森林と水辺がある限られた山間部で観察されています。松之山地域は日本で数少ない観測地の1つで、ブッポウソウの繁殖が確認されているほか、アカショウビンはかつての「町の鳥」として地域で親しまれています。
しかし、この貴重な野鳥を収めようとする野鳥カメラマンの配慮の無さが、鳥たちの営巣に悪影響を与えていることが近年問題となっています。2年前にはアカショウビンとブッポウソウの生息情報が拡散されたことで、野鳥カメラマンが多く訪れるようになり、連日の居座り行為や私有地への無断立ち入り、鳥や巣に過度に近づく行為などが目立つようになりました。この影響で、鳥が巣作りや子育てを途中でやめてしまう「営巣放棄」が深刻化しています。
森の学校 キョロロ 小林誠 学芸員
「この数年で一部のカメラマンが鳥の営巣環境に近寄ることや、営巣中の鳥に対して暗い中ライトを当てるなど干渉してしまうことが、直接的に営巣放棄につながっていると地域では考えている。アカショウビンは非常に警戒心が強くてデリケートな部分がある。近年多くのカメラマンがレンズを構えている状況が続いたので、おそらくエサを採る頻度などに影響があったと思う。ブッポウソウは割と図太いので、1回営巣を始めたら気にせず続けるが、それでも複数年にわたって営巣放棄があるので影響が大きい。ブッポウソウは以前、県内の複数で観測されていたが減少傾向が続き、この地域が県内では最後の砦と言っていい」
こうした状況を受けて松之山野鳥愛護会では去年春から森の学校キョロロや地域の関係者と「私有地への無断の立ち入り」「長時間の居座りと撮影」を控えるように、看板やポスターやSNSなどで注意を呼びかける対策に取り組みはじめました。その結果、過度な撮影行為は減りましたが、残念ながら去年もアカショウビンとブッポウソウの営巣放棄が確認されました。
森の学校キョロロで行われた対策会議(4月23日)
上湯地区 区長
「撮影者の車が30台以上も道路の路肩に止まっていて、通勤するのも怖い状況だった。去年の対策以降は数は減ったが、全く居なくなるということはない」
また現在は野鳥の撮影を規制する条例などはなく強制的に立ち入りを制限することができないことから、営巣放棄の改善が見られない場合には法的なルールづくりの必要性も検討しています。
十日町市 環境エネルギー部 星名学 副参事
「条例を考える前に、今この現状に対してどういうアプローチをするか、我々も一緒に検討していきたい」
松之山野鳥愛護会 村山暁 会長
「私有地への立ち入りを禁止することはできるが、それ以外のブッポウソウの営巣木では『近づかないでください』とお願いすることしかできないので、規制はなかなか難しい。お客さんと私たちで衝突があることもある。うまく条例が作れて営巣を妨げない効果があればうれしい」
今シーズンは5月初旬からアカショウビンやブッポウソウが飛来してくる見込みで、愛護会では巣箱や、啓発看板の設置などの準備を進めています。村山暁会長は、「巣の100ⅿ以内に近づかず、歩きながら観察や撮影を楽しんでほしい」と呼びかけています。
松之山野鳥愛護会 村山暁 会長
「アカショウビンやブッポウソウなどの貴重な鳥がここに来てくれるということは、鳥にとって住みやすく食べるエサがあるということ。それは人間の生活と大きく関わっている。人間と鳥との共生を目指していきたい。本当はブッポウソウの生息地をもっと知ってもらって、もっと見に来てもらいたいと私は思っている。はざまに立って苦しいところもある。今は皆さんがカメラや双眼鏡などいい道具を持っているので、それで見られる範囲で楽しんでほしい」
松之山野鳥愛護会では毎月第4土曜日に定例探鳥会を開いているほか、5月31日(日)には年に一度の「松之山探鳥会」を開きます。詳しくは森の学校キョロロの公式ホームページをご確認ください。
Copyright (C) 2026 十日町タウン情報 All rights reserved.