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宮中取水ダムの魚道研究でJR東日本の職員が博士号取得

2024年02月07日 11:49更新

土木遺産の魚道を世界に向けて発信します!

信濃川にある宮中取水ダムに設置されている魚道の有用性について、10年以上にわたって研究しているJR東日本の職員がまとめた論文が評価され、埼玉大学から博士号の学位が授与されました。

魚道の研究で博士号を取得したのは、エネルギー企画部オペレーション管理ユニットマネージャーの枡本拓さん50歳です。枡本さんはJR東日本に入社後14年間、東京駅をはじめとする首都圏の駅の改良など設計や建築工事に携わってきました。

信濃川発電所の業務改善事務所で、河川環境の調査を任されたのは2011年からです。未経験の分野ながら、宮中取水ダムに設けられている、魚が行き来するための通り道「魚道」について研究を進めてきました。

JR宮中取水ダム・魚道観察室

具体的には、ダムに設置されている「大型魚道」「小型魚道」「せせらぎ魚道」の3つの魚道の必要性や、魚がどのように魚道を選択しているか行動の謎を調べてきました。

せせらぎ魚道でのサケの稚魚放流の様子

枡本さんが魚道にトラップを仕掛け、遡上する魚の魚種や数を分析したところ、アユの多くは大型魚道を、小型のオイカワは小型魚道を利用していることがわかりました。

また、川底に暮らすトウヨシノボリやカジカ、シマドジョウなどの魚と泳ぐ力が小さいニゴイやウグイの稚魚などは、流れが穏やかなせせらぎ魚道で多く見つかり、それぞれ体の大きさや生息環境にあわせて魚道を使い分けていることが分かりました。またウグイの婚姻色の有無と捕獲割合を調べ、成長過程にあわせて、流れの速さが異なる魚道を選んでいることも突き止めました。

枡本さんがこれらの研究を論文にまとめて海外に向けて発信したところ、その成果が認められ、去年9月に埼玉大学から博士号が贈られました。1月25日(木)には博士号取得報告会が道の駅クロステン十日町で開かれました。

指導教官を務めた埼玉大学 浅枝隆 名誉教授
「せせらぎ魚道はほとんど研究がない。魚道は元々アメリカ・ヨーロッパで主に作られ、彼らの関心はサケかマスで底生魚には関心がなかった。ドクター枡本はいくつか海外に論文を書いている。日本の河川管理、魚道やダムもそうだが非常に環境のことを気を付けている。宮中ダムと魚道は土木遺産。日本の技術、特に宮中ダムでやっている技術を世界に向けて発信してもらいたい」

枡本さんは引き続き、研究を続け、得られたデータを魚道や河川環境の維持管理に生かしていくことにしています。

枡本 拓 博士
「私は元々、魚とか釣りとか全くやっていなかったので素人。地元の漁協と話をすると、アユの放流や釣りが行われていることや、カジカやウグイを対象に漁協が活動していることが分かってきた。魚道を生かして魚が川の上下に移動することが大事で、そのためにこの3つの魚道があって、使い分けがうまくできているということが大事と分かった。せせらぎ魚道は土砂で埋まると掘り起こさなきゃいけない。水路をうまく作るのには手作業が必要。植物も生えすぎても、ゼロでも駄目で微妙なところをどう管理していくか。これからものすごい課題になっていくと思うので、引き続き魚道のメンテナンスを頑張っていく」

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